慶賀の松

豊竹咲甫大夫=構成
鶴澤清介=作曲
田中源助(現:十三世田中傳左衛門)=作調
藤舎貴生=作調
尾上青楓=振付
平成16年(2004年) ア−トスフィア初演


 新玉の年を寿ぐ春風も たゆとうとうとう とうとうと 金波銀波の波間より 出づる初日の輝かし さても栄ゆる都の空 早ほのぼのと曙の 家居に注連のかしこくも 門に立てたる若松の 翠いよいよ目出たけれ さてこの松を目當にして 年毎に来たり給はる恵方の神 下り立ち立たせ給はるは これこれここぞ これここぞと 印に立て招きしは 福々福々福々 福の神 恵比寿 大黒 壽老人 大きなおなかの布袋さん 長い頭の福禄壽 こなたには又 四天王随一とこそ聞へたる 藍瑠璃色の海原を 渡らせ給ひし毘沙門天 さて 宝船のその中で いと尊くも見目美はしく奏ずる 琵琶の妙音も冴ゆるは弁才大天女 長久圓満息災延命富貴自在の御神徳 さて又 松の色々に まず第一に尾上の松 曽根高砂や住吉の 岸に寄る波寄るさへや 夢にも君に三保の松 こんな思いも有馬山 いなにはあらぬ我が心 首尾を見合はせ恥ずかしながら 結ぶ契りの後朝に お前の心 武くまや そんな口説は岩代に 沖の白石 我からさきに逢ひに来たのも 恋しがの 縁の絆深緑 色も変わらぬ松こそ目出たけれ 園生の栄華いやまさり よき事聞くの家栄へ 長生風雅尽きしなく 四季の花咲き穂に出でて 家名もいよよ高行きに 四海を制す慶賀ぞと 豊き竹の一節を流れも清き鶴澤に うつしてこそは祝ひけり